Keep On Movin'

ブン殴られても立ち上がるブログ

漆黒とオートシャンプー

ここ数日は、知り合いのキャバ嬢に「イメチェンしろよテメー!なぁ、会社って金髪 イケる?」とか訳の分からない脅しをされながら、インスタグラムでダサ男がカッコいいイメチェンを遂げる動画を撮る美容室に連れてかれて、キャバ嬢と美容師と俺のせめぎ合いで何とか少し明るめの茶髪に留めた状態を保っていた。

髪色を茶にして、俺が再現不可能なワックスでのイケイケ髪を見た瞬間、キャバ嬢も手がちぎれんほどの拍手喝采で「これはイケる。モテるよ」と、嬢のドラフト1位に勝手に指名されていた。ソフトバンクの工藤監督は俺の1位指名の画面を見て苦笑いするだろう。あまりにもメジャーどころかバッターボックスに立ったら真ん中に来ても振れないほど弱いからだ。大谷くんも投げ甲斐がなくロジンバックをぶつけてくるだろう。

 

趣味の悪い銀色のマスクをしながら「就活出来るくらいにはしたんで〜」とかほざきながら普通に無理だと悟れる明るさだったので、「だから無理なオトコ"3B"に入ってんだよお前ら」と心中で愚痴りながら過ごしたが、

やはり会社にはNOを突きつけられ、はぁ〜?俺も会社イヤだし!?という、にこやかなwin-winの"""NO"""のぶつかり合いで、でも次に繋ぐ就活をするにはこの髪色はやっぱり無理だなと思い、当初の黒に戻すことにした。

 

近所に最近出来たショッピングセンターみたいなところにある、安めのカットカラー専門店に初めて行った。

 

「カラーは?」「あ、黒で」「オーガニックにしますか?」「オーガニック?」「染める時のヒリヒリ感が弱まります」「じゃあそれで」「プラス500円で栄養剤は?」「んぁ?」「ハリやコシ、ツヤが違います」「じゃあそれでやりますか」

 

ハリやコシやツヤが入ったおニューな俺に果たして誰が興味を持つのかは分からないが、とりあえずそれで就活して、もしかしたら面接官が「ムム!こいつは髪が他の奴よりハリ、コシ、ツヤが違う!採用!」ってなるかもしれない。

そんな会社は一刻も早く潰れちまえばいいけど。

 

席に着くと髪はどうしますかと言われた。いやもう黒は黒だろって思ったら、「これだと漆黒になります」と言われた。え、俺って生きてきた時の髪型って漆黒なの?と思い躊躇ったが、面接官が「ムム!いい漆黒だ!採用!」となるかもしれないから「じゃあ漆黒で」と言った。じゃあ漆黒で、って人生で2度と言いたくない。

 

カラーで塗り塗り塗りたくられしばらく放置された。暇だったから、雑誌がiPhone XSやXRが出た当時のものを、目が悪いから近づけながら初めて読むぞ!ウォオ!iPhone!現代ノ!素晴ラシイ名機!みたいな顔をしながら読み、ズボンのポケットから何回もiPhone XSを取り出す滑稽な茶番劇を幾度となく繰り返した。その結果、余裕で担当の人が変わった。塗ってる人、ちょっと可愛かったのに。このおばちゃん、変人担当なの?ごめんね。

 

髪洗い流しますと言われた時に、「1回目は手で洗い流しますが、2回目はオートシャンプーにします。オートシャンプーって知ってますか?」と言われた。

乃木坂46の『おいでシャンプー』なら知ってますが、と言いかけ「知りません」と真顔で言った。

 

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乃木坂46 『おいでシャンプー』Short Ver. - YouTube

 

1回目は手で洗い流され、いよいよオートシャンプーの時間に。耳にコットンを捻じ込まれ、顔は器具でホールドされた。今から何が始まるのだ、と勘ぐるのも束の間、それは始まった。

 

 

 

シャドラァァァァァァァァァァァ…

 

 

 

 

それ以外に見合った効果音が見当たらない音を立てながら、オートのシャワーが俺の後頭部を社交ダンスのように刺激する。

 

これが、オートシャンプー…

 

 

 

 

シャドラァァァァァァァァァァァ…

 

 

 

 

 

 

シャドラァァァァァァァァァァァ…

 

 

 

 

 

 

 

シャドラァァァァァァァァァァァ…

 

 

 

 

 

 

色々なパターンで俺の後頭部を洗い流す。でも今のところシャワーだけやん。シャンプーないやん。と思ってた時に、

 

 

 

 

 

ボンヌフ ボンヌフ ボンヌフッ

 

 

 

ボンヌフ ボンヌフ ボンヌフッ

 

 

 

 

 

主役登場と言わんばかりにシャンプーが来た。

 

 

 

おいでシャンプー
君の予告が
甘く切なく
届いたよ 僕に

 

 

 

あの曲はオートシャンプーの曲だったのかと、自分の中で反芻した。

 

 

 

シャドラァァァァァァァァァァァ…

 

 

 

 

その主役もシャワー先輩が優雅に洗い流す。

 

 

 

 

そうして俺のオートシャンプー a.k.a. シャドラァァァァァァァァァァァ…タイムはブザービートを告げた。

 

 

 

面接官にはこの漆黒の髪のハリとツヤとコシを積極的に伝えていきたい。

そして「おいでシャンプー」がオートシャンプーの曲だという事も。

 

 

そして何より忘れてはいけないのは、茶髪で就活は余裕でダメだということを。

例えその髪がハリとツヤとコシがあってもだ。

 

 

 

 

君は額の汗を拭って
こっちを見ながら
まだまだ終わらないねって
微笑んだ

こんなの初めてさ
気になってしまうよ
恋なのかなあ
かもね・・・

 

 

 

 

このワンフレーズを反芻し、帰路についた。

 

就活が「まだまだ終わらないね」と微笑まなければいいのだが。

 

 

 

 

 

P.S.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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おいでシャンプー」の時代でも、

白石麻衣は可愛かった。