Keep On Movin'

ブン殴られても立ち上がるブログ

嫌悪

青春は短い。宝石の如くにしてそれを惜しめ。
ーーーー倉田百三

 

高校時代は"青春"というものが、避けない限りはどうしても生まれる。俺でさえあった。ただ、楽しいというだけで青春という二文字は勿体無くて使いたくもない。

 

俺にとって、高校は大嫌いだった。思い出したくもない。

 

子供の喧嘩に親が出る。寝たら金縛りに合う。部活の生産性のないメニュー。イケてるグループのメンバーに念願の"連れション"(仲間である証みたいなもの。我が高校だけなのか知らないけど)に呼ばれたと思ったら当時は存在しなかった"壁ドン"をされやってもない罪を被せられる。

 

そんな俺に、青春を味わせないようにしていたのが、同級生のK君だ。

 

K君は、猿みたいな見た目をしてた。少しヒョロッとしていて、ずっとニヤニヤして、気に入らない奴はお猿さんよろしくウキウキ言って危害を与えてた。

しかしそれは第二形態での話で、第一形態の時は仲が良く、俺がいるからと、同じ部活に入っていた。

 

第二形態へ進化するには、K君の「仲いいよな、俺ら」みたいな、小学生レベルの青春ごっこ a.k.a. ダル絡みを拒否すると化ける。

今までの仲の良さが嘘のように、俺に対してギャアギャア騒ぎ、突然蹴ってきたり殴ってきたりしてきた。一緒だった部活も俺と喧嘩別れし、退部した事でさらにエスカレートした。

 

ある日席替えをした際に、俺が1番前になり、K君が後ろの席になった。先生から紙を配られ後ろに回すと急にバッと取り、机から身を乗り出し、「ウキィイイィ!!」という顔をして、いや、多分言ってた。そして、困惑した俺の顔を見て、またニヤニヤする。

あまりにも低レベルなので学級委員長に相談し、目が悪い女の子と席を交換してもらった。これで歪み合いも無くなり、スッキリする。と思った。

実際、何も無くなり、平和な日常を送っていた。そんなある日の放課後、K君が俺の元に来た。

 

「おぉぉ〜いw」

 

相手にもしたくないので無視をした。そうしたら、俺に言った言葉は、

 

「俺がぁ、近くにいた時とは違ってぇ、楽しそうだなぁ〜???」

 

だった。今でも覚えてる。そして何故か机を蹴ってきたのだ。

そう。そういう奴がいるんだ、っていう驚きだ。理解不能の世界に連れていかれそうになった。人は嫌いな奴は関わらないようにしたいのがルールだと思っていた。

本当のサイコパスは、嫌いな奴をそばに置き、自分の優位さを感じたいのだ。そういう思考力はあいにく持ち合わせていなかった。

 

卒業の際にK君は、トイレに行くために机に置いてあった俺の卒業アルバムのメッセージ欄に

 

 

 

ニート道 K」

 

 

 

と勝手に書いていた。

俺を馬鹿にするために頑張って書いたのだろう。今でも別に消したり隠したりもせずにそのままある。

 

 

 

 

 

そして俺は現役で大学に行きそのまま現役で会社に受かった。一方でKは、7浪を経験し、今年、やっと大学に入学した。

 

 

 

 

7浪である。思い切り"ニート道"だ。

 

 

言葉と災いは返ってくる。本当に。皆んなも気をつけた方がいい。

 

 

 

 

さて、そんな不憫な俺にも、こんな事があった。

 

部活で、同期に唯一の女子がいた。顔も正直に言えばそんなに良くないし、部活で活躍もしない。でも同期だし頑張っていこうぜ、なんて感じで優しく接した。

 

ある日、その子のクラスの女友達に呼ばれた。

しかも3人組からで、場所は廊下だ。

 

その女友達は顔も知ってるし話したこともあって、廊下ですれ違えば挨拶もする。そんな程度だからこそ、呼ばれるって何事だ?と思った。

 

「ちょっと聞きたいんだけどさ」

 

口を開いた3人組のリーダー格のAは怒ってるというより、言いづらそうだった。いつも「イイ波乗ってんねェ〜」みたいな事を年がら年中言ってるようなキャラのくせに、この日に限って歯切れが悪い。

 

「あの子の事、どう思ってる?」

 

"あの子"は、部活の子だ。あまりに何も思ってなかった単語が急に頭に詰め込まれる。混乱した。何が正解かも分からない。

 

「…同じ部活をしてる、普通の子としか」

 

そうとしか思えなかったから、そう答えるしかなかった。

すると、突如、何者かに俺らがいた廊下近くのトイレから姿を現し、俺の背中をバンって1発殴ってきた。

 

不意打ちだったので、誰が痛みを与えた?とその加害者とも言うべき子を見た。

 

 

 

 

目に涙を浮かべた、部活の子だった。

 

 

 

 

 

 

 

後日、その子は転校した。

その子と会ったのはその日で最後だった。

 

 

 

 

女子というものに恐怖心を抱いたのは、あれ以来からだ。

 

青春に後悔は付き物だ。だからこそ、泣かせてしまったあの子とは、むしろ、もう一回だけ、会いたい。

 

そんな事をぼけっと懐かしんでいたら、分かりやすく仕事をミスったので、

嫌いな奴の話と一緒に書いた。多分まだ嫌いなんだろう、俺のこと。

 

2人とも。

 

 

 

 

 

 

 

 

高校は大嫌いだった。思い出したくもない。