たったさっきから俺が結婚するまでの話
泣くことも一種の快楽である
「随想録」より
ーーーーミシェル・ド・モンテーニュ
幼馴染の結婚式があった。
幼馴染、新郎、本日はおめでとうございます - Keep On Movin'
これを書いたらちょっとだけバズった(身の回りの人だけ)。そうすると、どうだったのかを聞きたくなるのも人間の性だ、という建前と、またバズるかも?という浅ましきエゴの本音が自分の頭の中で渦巻くも、とりあえずレポ的な物を書いておく。
一生に一度、と酒を呑まず迷惑を掛けぬように動いた結果、このブログが書けて後世まで忘れないだなんて、酒が弱いように産んだオカンに感謝しなくてはならない。
有楽町線の電車に揺られて、音楽を聴いていた。有楽町線は新木場方面まで行く時にたまにお世話になる。
YouTubeで、一つの動画が目に留まった。
チャットモンチーだ。
チャットモンチー 『たったさっきから3000年までの話』 - YouTube
チャットモンチーは、以前にブログで書いた通り、今年中の解散が決定している。
ラストアルバムの中の一曲がMVに出ていたので拝見した。
結論から言わせてもらえば、泣きそうになった。
"嘘だろ?"
そう読者からの疑念が透けて見える。そりゃそうだ。最初に"レポ的なものを書く"と断言しときながらまだ着いてもない移動手段の電車にて幼馴染より付き合いが薄いチャットモンチーのMVですでに泣きそうになっている男がここにいるのだから。
そんな人達へ。
うるさい。
黙って聞きなさい。
チャットモンチーのラストアルバムで「たったさっきから3000年までの話」という曲名だ。MVを観ても分かるが、そういった曲だ。
あなたがかなりおじいさんになる頃
どんな日本なんでしょう?
ドラえもんのお気に入りの道具が
ダイソーに並んでたりするんでしょうか?
相も変わらず地震大国で
北朝鮮とアメリカの狭間で
揺れてるでしょうか?
あなたは座り慣れた椅子で
そんなニュースを見てる
だけど眠る前にはふと笑えるような
思い出に囲まれているでしょうか?
最初っからVo.橋本は俺、もといはチャットモンチーファンの涙腺のバリアを叩き壊す為にエンジン全開だ。こんなんLiveでやられた日には、終了後にチャットモンチーファンと涙を流しながら肩を組んで居酒屋で日本酒を徳利で呑み、チャットモンチーがいない世界を憂うだろう。
そんな事を思いながら式場に着いた。チャットモンチーのせいで、受付で祝儀袋を渡す時に「本日はおめでとうございます」を言い忘れ「よろしくお願いします。」と言いながら袱紗代わりに祝儀袋を買った時に付属していた簡易的で小さいチケット入れるやつみたいなものを祝儀袋の下に敷き渡した。受付の嬢は「失礼なちんちくりんだな」といった目付きで袱紗代わりのものまで受け取ろうとして、あ、すいません、と謝った。悪いのはチャットモンチーだ。
「堅苦しくなくラフなパーティ」を目指した新郎新婦の2人は間違いなく出席者をロックしていたが、前のブログにも書いた通り俺はスピーチに呼ばれていない。最初に出て来た仲介人は「新郎の20年来の友達」と名乗ったが、こっちは付き合いはそれほどとは言え、1才から幼馴染を知ってるから24年の付き合いだ。4年の差なら大学生なら社会人を目指すようになっているのだ。しかも仲介人は髪型もビシッと決まり面持ち優しいイケメンだ。髪型を久々にセットしても職場で「先輩、今日髪の毛濡れてません?」とか言われる仕上がりを披露してしまうような、まるでちんちくりん不細工にはこういうのが向いてないんだと言われてるようで、オープニングから社会の厳しさを知った。
室内でいくつか司会が新郎新婦に話しかけるシーンがあった。
新郎が朗らかに返してるのに対し、幼馴染である新婦は「ニホンゴワカリマセン」みたいなたどたどしさを披露しまくって会場の笑いを誘った。
HIPHOPに例えれば逆MIYACHIだ。
MIYACHI - WAKARIMASEN (PROD. MIYACHI) - YouTube
ブァッサと伸びたまつ毛を中心にバチっと決めたメイクにドレス、頭には日本陸上のQちゃんを連想させる草冠。どう見ても典型的日本人やん。
そういえば、チャットモンチーのHPにこんなものがあった。
タイトルが読めない。
リンク先へ飛んだら「誕生」って書いてあって、ああ、なるほどね、って読めるか!ってツッコんだ。1人で。
新婦もそんな感じだ。
話すとバカが露呈するので、まだマシな新郎がカバー(通訳)して笑いが起きる。いないのに、学芸会で我が子がセリフを間違える気恥ずかしさってこんなんだろうな、と思った。
新郎新婦のお父様お母様がテーブルにご挨拶に周りに来た。
なかなか新婦に負けじと面白い人達で笑わせてくれて緊張をほぐしてくださった。お父様に耳元で「また呑みに行こうな」と言われ、即座に「はい、是非!」と言ったが、新婦のお父様と呑んだ日は一回たりともないのだ。家でお茶をご馳走してもらった時しかない。
あっという間に終わり、二次会。
二次会は、特に特筆するような事はない。二次会から来たギャル2人組がいて、絶対新婦の友人やんと思ったら、やっぱりそうだったり、
新郎が新婦の利きビンタに挑戦して成功したり。
前述したチャットモンチーのMVのラストシーンだ。
「バックトゥザ・フューチャー」のデロリアンに模した車に乗り、3000年?まで向かうチャットモンチーの2人組。
前述した歌詞をもう一度。
あなたがかなりおじいさんになる頃
どんな日本なんでしょう?
ドラえもんのお気に入りの道具が
ダイソーに並んでたりするんでしょうか?
相も変わらず地震大国で
北朝鮮とアメリカの狭間で
揺れてるでしょうか?
あなたは座り慣れた椅子で
そんなニュースを見てる
だけど眠る前にはふと笑えるような
思い出に囲まれているでしょうか?
新郎新婦もチャットモンチーも、例え3000年になっても、ふと笑えるような思い出に囲まれて変わらず仲良くやるだろう。
幼馴染が神田うのじゃない限りは結婚式はこれで終わりだ。
チャットモンチーも終わる、しかし"私たちがいない"(少なくとも私たちがいない音楽界)であっても変わらず元気でやりましょう。そういったメッセージが今回と重なり、いい結婚式だった。
挙式も、披露宴も、二次会も、
涙腺は、すんでのところで止まった。
「幸せそうだったね」
未だに電車で一緒に列席した小学校の同級生の言葉が頭から離れない。
涙あり、笑いあり。その姿を見て、確かに幸せそうだった。
だからなのか親に感謝のメッセージで泣かなかった、そんな俺は何の為の幼馴染なんだろうか。
ここで泣かず、いつ泣くのか。ビビリはした。が、涙はまだ先に。
3000年で泣こう。
それまでは、その幸せ="快楽"はお預けだ。
末永く、お幸せに。